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『ペルソナ5 ザ・ロイヤル』プレイ感想記事

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皆様いかがお過ごしでしょうか。

今回のお話はアトラスさんより発売されたSwitch版ペルソナ5 ザ・ロイヤル(以後P5R)』について。

去年の暮れに購入し、この二ヶ月間自分のゲーム生活の中心にあった本作を先日、無事にクリアいたしました。

1、2周目併せてクリア時間は計187時間。途中でうっかりセーブせずに電源を落としてしまったこともあったため、恐らく実際には200時間をゆうに超えているかと思います。冷静に考えてみても恐ろしい数字。

自分はそこまで多くのゲームに触れてきた人間ではないのであまり参考にはならないかもですが、まず間違いなく、これまで遊んできた中でダントツの完成度を誇るゲームでした。

その感想は遊んでいる最中も遊び終えた今も変わることなく。物語にバトル、操作感にUI、音楽にビジュアル……ゲームに必要な要素は多岐にわたりますがP5Rはどのタイミング、どの視点から切り取ってみても全てが最高水準で成立してるーーまさしく“奇跡”のような作品です。

凡そ200時間ぶっ続けでゲームを遊ぶ経験も初めてでしたが、何より、200時間遊んでいながらその道中「不満らしい不満点が浮かばない」のは過去に例のない経験で、自分は終始その完成度に打ちのめされながら物語を進めていきました。

そしてそれらの果てにエンディングを迎えた瞬間の感慨たるや。じっとエンドロールを眺めながら、ゲーム内の世界でこれからも生きていく彼らの未来を思う、そんな余韻の残る作品でした。

今回は物語のネタバレは避けつつ、「P5Rのここ良いよね」というポイントをなるべく詳細に書き留めていこうと思います。感想記事ではありますが未プレイの方も安心してお読みいただけるものとなっていますので、よければ最後までお付き合いくださいませ。

 

まずは物語。P5RのゲームジャンルはRPGとなるため、兎にも角にもこれは外せません。事前に本作の物語が優れていることはなんとなく把握していたのですが、実際に触ってみると想像を遥かに超えたその緻密さに自分は圧倒されることになります。

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ーー舞台は都内、某所。

東京の街並みには若干不釣り合いな荘厳なカジノの一室で、ある日、一件の盗難事件が発生します。盗まれた物品は頑丈なアタッシュケース。犯人の青年は複数の仲間と共謀し、見張りの厳重なカジノからの脱出を試みます。ワイヤーアクション、回避に隠密……怪盗さながらの華麗な動きで包囲網を潜り抜けていく犯人。

見事建物を脱出し、無事成功したかに思われたその作戦はしかしあと一歩、カジノの外に待ち構えていた警察の群勢によって失敗に終わります。

身柄を拘束され、あえなく地下深くの尋問室に収容される青年。自白剤を投与され、半ば強制的に調書に書かされた彼の名は雨宮蓮。

ここ最近、世間を騒がせていた『心の怪盗団』と呼ばれる犯罪集団のリーダーであり、その正体は都内の高校に通うごく普通の学生でした。

彼の担当として特捜部から派遣された女性検事……新島冴との尋問の中で、雨宮はこの数ヶ月の間に自分の身、そしてこの日本で何が起きていたのかを包み隠さず供述することとなります。それは自らの犯罪遍歴を明かすと同時に、自らの潔白を証明する、長い長い回想の始まりでしたーー。

……P5Rの物語はこうして、「主人公の記憶を数ヶ月前から追体験する」という特殊な形式で進行していきます。物語冒頭……桜の花弁が舞う暖かな新学期、その時点でまだ“ただの高校生”だった主人公は、いかにして『心の怪盗団』となったのか。そして『心の怪盗団』は何故、どのような手口で完全犯罪を成し遂げたのか。

その過去が、現在が、未来が一点に結び付く時、日本中を巻き込んだ世紀の大捕物の幕が開くことになるのです。

 

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……とまあ大筋だけ書くとまるでシリアス一辺倒な物語のように思われるかもですが、そこはご安心ください。このゲーム、日常パートがえんらい楽しいです。えんらいです。えらいを通り越してえんらい楽しい。

主人公はあるキッカケにより発現した能力ーーペルソナを用いてこの世に蔓延る悪人たちの心に直接侵入し、その奥底に眠る歪んだ欲望を頂戴する『心の怪盗団』を結成。仲間たちと共に数多の悪党を“改心”させていくことになるのですが、逆に言えばそれ以外の時間は基本的に何をしても自由。

買い物するもよし勉強するもよし。ぐうたら寝転ぶものんびり散策するも、行動の全てがプレイヤーに委ねられています。

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故に、こうして放課後は主人公と同じ高校に通う生真面目生徒会長と四六時中脇目も振らずイチャつきまくることも可能です。最高のゲームじゃん……。

勿論上に書いたように「ペルソナの力を使って悪人を改心させる」という主目的は存在しますが、改心の期限は比較的余裕を持って設定されており、よっぽど変な行動を取り続けない限り基本全てのボスには勝てるようになっています。いつでも難易度変更できるしね。

よって、プレイヤーに与えられた時間の多くは自由行動。ボスを倒すために黙々と鍛錬することも可能ですが、何よりも放課後の交流パートが楽しすぎて怪盗業が疎かになってしまうこともしばしばです。

授業中は真面目な学生を装いながらこっそり仲間とチャットしたり、放課後はお気に入りのキャラと好きな場所に出掛けたり……その果てにはなんと恋人同士になれたりと、シリアスな本編と対を成す、理想の学園生活を彩る要素が満載です。

 

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……遊び始めてしばらくは行ける範囲も話せるキャラも少ないため行動にもだいぶ制限がありますが、ある段階から徐々にそれらが解放されていき、最終的には毎日こんな感じになります。

溜まりに溜まったチャットに返信しつつ、空いた時間で瞑想や筋トレ、バッティングセンターにも通い……ああそうだ、この間借りておいたDVDや本にも目を通して潜入道具も作成して……ってあれ、もしかして怪盗稼業より日常の方が忙しいのでは?


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ちなみに自分の一番のお気に入りキャラは上にも書いた現役美人生徒会長の新島真ちゃん。

気の強い秀才でありながら、これまでそういう経験が皆無だったため恋愛に関しては完全に奥手の女の子という、そんなん誰だって好きになるだろズルいぞアトラスと叫びたくなるキャラクターです。

序盤は主人公の居候先近くで町医者をやっている色気のヤバすぎるダウナー女医お姉さんこと武見妙さんに意識を丸ごと持っていかれたのですが、彼女を恋人に出来るかの大事な場面で誤った選択をしてしまい結局「仲のいい人」止まりに。

しばらく立ち直れなくなっていたところに現れ、いつも主人公を厳しくも優しく見守ってくれた新島真ちゃんと晴れて恋人になったという訳でした。

こうやって書くと経緯が生々しいな……。

 

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主人公が「結婚願望がある」と言った際、仲間の中に恋人がいるとこういう反応が追加されます。細かい。

しかしなんべん言うねんという話ですが、このゲームはとにかく日常パートが楽しすぎるんですよ……。

恋人になるまでの過程でも色々な選択肢がありますし、個別コミュ後には必ず相手から電話がかかってきたり、とにかく行ける範囲が広いので「誰と」「どこで」「何をするか」の組み合わせだけでも膨大。休日や恋愛関係限定で行ける場所が増えたり、会話シーンに特殊な台詞が追加されたりと、自分がどういう行動を取ってきたかで変化する物語の「幅」が広いんですね。

故に同じエンディングに到達しても、十人十色の思い出がある。

自分が1周目から間隔を空けずそのまま2周目に移れたのも、全てはこの「自ら物語を紡いでいる感」がどのゲームよりも強烈だったからです。

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P5Rにはカレンダーシステムというものが搭載されており、主人公の「放課後」「夜」の行動と共にゲーム内の日付も一日ずつ進んでいきます。

鍛錬に励むも怠けるも恋に生きるも全てはこちらの選択次第。

そしてそれらを積み重ね、結集させた先で物語の結末を見届けた時。そこにはプレイヤーごとに異なる、掛け替えのない一年間の記憶があることでしょう。

 

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また、P5Rは敵地に潜入した際の戦闘でもプレイヤーの心を豊かに刺激してくれます。

アシッドジャズ調の優美なBGMに乗せてキャラクターが躍動するバトルはターン制バトルであることを忘れさせるほどにスピード感があり、特徴的なUIも相まってその都度極上の爽快感をもたらします。

同じ戦闘でも、相手の弱点に対応したペルソナを呼び出す「ペルソナチェンジ」、仲間と攻撃を順々に繋ぐ「バトンタッチ」、特殊な条件を満たすことで優位に立てる「テクニカル攻撃」、そして豪華なカットインと共に敵に必殺の一撃を叩き込む「総攻撃」などその戦略の幅は広く、初心者からやり込み型の人まで満遍なくバトルを楽しめるはずです。

 

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また、本作には2019年、PS4版が発売された際に有償DLCとして配信された各キャラの専用衣装が初めからほぼ全て収録されており、お気に入りの服に着替えて戦闘に繰り出すだけでも無限に時間が溶けていきます。

おまけに一部衣装は、主人公が着替えると戦闘BGMが固有のものに変わるという凄まじい気合いの入りよう。

同じシリーズでもメンバーごとに細部が異なるものも用意されており、その総数は最早いちいち数えるのも骨が折れるほど。ネタっぽい衣装で戦ってみたりセクシーなコスチュームを穴の開くほど観察してみたり、先ほどの戦闘システムも併せてここでもP5Rはユーザーに大きな「幅」を提供しています。

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これは新島真ちゃんにピチピチニットを着せた時のボディラインが凄かった時の写真。この色気で高校生は無理でしょ……

 

また、これは日常と戦闘パート両方に言えることですが、P5Rを遊んでトップクラスに感動した点がその操作感

前述の通り自分はこれまでそこまで多くのゲームを遊んできた人間ではないのですが、そんな自分でも今まで何度か、ゲームのキーコンフィグに違和感を感じることがありました。

制作者やメーカー、またターゲットが異なる以上、当然ながらボタンの配置も千差万別です。

ABボタンの役割は概ね共通してるとして、XYボタンは何に使うべきか。ならばLRボタンは?+ボタンは?こればかりは人それぞれ感性が違うため一概に答えが出るものでもありません。

しかし、P5Rを触った時に自分が衝撃を受けたのはとにかく練られたボタン配置でした。

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例えば先ほど挙げたXY、LRボタンに関しても、本作では「Rボタンをマップ」「Yボタンにチャット機能」を当てることで解決を図っています。実際に本作を遊ばれた方は分かると思うのですが、この二つは日常パートで特によく使う機能なんですよね。

それらをRボタンとYボタンに配置するとどうなるかというと、

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Switchを両手持ちした際に右人差し指と親指が自然とその位置に来るんですね。

マップを+ボタンとするゲームも多いですが、P5Rではそこをセーブ機能に、−ボタンは戦闘中稀に発動する「SHOW TIME」という必殺技に当てはめています。これらは先ほどとは異なり少し指を伸ばすことで押せる位置にあるため、「使用頻度は落ちるが重要度の高い機能」が割り当てられてる訳です。

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……P5Rの感想を述べる際によく用いられる表現として「UIがオシャレ」というものがあります。

実際、日常の会話シーンから戦闘画面に至るまで、P5RのUIはあらゆる面で卓抜しており、その刺激が本作のゲーム体験を唯一無二のものにしているのは明らかです。

ですがそれは、もしビジュアル面が優れているにもかかかわらず操作性が伴っていなかった場合、そのこだわりが悪い方向に作用する危険も孕んでいます。「目立つデザイン」と「万人が納得するデザイン」は本来相反するものです。

しかしP5Rは、

・まずオシャレなUIがあり

・それらの視認性が高く

・おまけにボタン配置の最適解まで提示する

という荒技を実現してみせました。

その結果、自分はプレイ中何のストレスを感じることもなく200時間最後まで物語を遊び尽くすことができ、そしてこの体験を可能にした開発陣の並々ならぬ努力と工夫に、心からの敬意を抱くのでした。

 

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『大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL』×『ペルソナ5』ジョーカー参戦決定記念!桜井政博さんSPECIALインタビュー! - YouTube

……スマブラカービィシリーズで知られるゲームディレクターの桜井政博氏は「普段滅多にベタ褒めしない」性格でありながら、以前自身のコラム内で本作をキャラ絵よし!ゲームシステムよし!音楽よし!モンスターデザインよし!世界設定よし!シナリオやセリフよし!いろいろよし!の無敵ゲーム』と評していました。

氏のみならず、本作は世界中のゲームファンから絶大な支持を集め、海外のレビュー集積サイトMetacriticにおいて2022年発売されたPCゲームの最高得点を叩き出すなど、日本を代表する名作RPGと呼ばれるまでに至ります。

 

その理由が、200時間遊び終えてようやくコントローラーを置いた時、自分にも分かるような気がしました。

物語にバトル、操作感にUI、音楽にビジュアル……ゲームに必要な要素は多岐にわたり、P5Rはそのどれもが傑出した作品です。これ以上完成度の高いゲームには今後しばらく出会えないのではないかと、そんな現実味のない感想を抱くほどに。

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日常パートの中で迫られる「誰と」「どこで」「何をするか」。

会話内に発生する無数の選択肢。

戦略性の高いバトルの中でどのキャラの、どのコマンドを選ぶか。

どの衣装で、どの音楽で戦場に赴くか。

そしていつ、悪人を改心させるのか。

これまで書いてきたように、そしてここには書ききれないほどに、P5Rは一本のソフトの中にあまりに多くの「遊びの幅」を詰め込んだ作品です。

それは先の展開を大きく変えるようなものから、なんてことない日常の一幕まで。

人生がそうであるように、このゲームはいつだってプレイヤーに多くの選択を迫ります。

そしてそれらを選び、経験し、蓄積していくうちに、この物語は徐々に自分が肌身で感じた「ただ一つの物語」へと変化していきます。

画面の向こうの他人事から、決して見過ごせない自分ごとになっていく。

ドラマではなく、アニメではなく、小説ではなく、ましてや実況や伝聞など以てのほか。

ゲームだからこそ味わえる、“遊ぶ”からこそ味わえるもの。

そんなゲームの醍醐味が、本作には凝縮されています。自ら選び、自らの意思で未来を勝ち取る物語。

強大な現実に立ち向かう彼らの人生を、同じ歩幅で体感するーー極上(ロイヤル)の一年間。

 

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ペルソナ5 ザ・ロイヤル』、歴史に刻まれる傑作です。

もしご興味がありましたら、是非ご自身の反逆の意思で、その未来を掴み取ってくださいませ。